人権問題県民講座

 

 

 1977年以来、35年間に及ぶ人権問題での愛知県民を対象にした大規模な講座です。当初は部落問題の学習から現在は視野を広げ人権問題全般に及ぶ講座です。

第37回人権問題県民講座を開催しました

日時:2019年9月18日(水)

   12時から受付開始 13時開会 16時30分終了

場所:ウィルあいち 

講演:①「教育と人権意識」梅田修(公益財団法人部落問題研究所常務理事)

   ②「部落問題をめぐる最近の行政の動向」新井直樹(全国地域人権運動総連合事務局長)

   ③「部落問題の原点」丹波正史(全国地域人権運動総連合代表委員)

   ④ 映画「人間みな兄弟」上映

参加費:2500円

※参加申し込みは地域人権ネット事務局まで(052-452-6030)

第36回「人権問題県民講座」を開催

 11月27日にウィルあいち大ホールにおいて、第36回「人権問題県民講座」を開催し県内から500名が参加しました。「部落問題大いに語る、本当のところはどうなのか」をテーマに、コーディネータに丹波正史全国人権連代表委員が務め、パネラーとして新井直樹全国人権連事務局長、石倉康次立命館大学教授、奥山峰夫部落問題研究所理事、松浦國弘愛知学院大学名誉教授、丹波真理愛知地域人権連あま支部長の5名で行われました。

同和行政を復活させない 第35回人権問題県民講座(2016年10月24日)

 地域人権ネット主催の、第35回人権問題県民講座がウィルあいちを会場に、県内の行政、教育、企業関係者600名の参加で開催されました。

 「部落問題解決と法規制問題」のテーマで、主に「部落差別の解消の推進に関する法律案」を中心に、奥山峰夫元大阪経済法科大学教授、丹羽徹龍谷大学教授、新井直樹全国人権連事務局長の3名がパネリストとして、進行を長田弘行全国人権連常任幹事が務め、シンポジウム形式で行われました。奥山氏は「70年代から80年代には結婚差別や就職差別とみられるケースがあったが、2000年代に入るとほとんど見られない」と指摘。丹羽氏は「継続審議となっている部落解消法ができることによって、差別を助長し、特別扱いすることになる。差別がほとんどみられないいま、同和行政を続ける意味はない」と法案を廃案にすべきとの認識を示しました。新井氏は「法案には部落差別とは何か、部落差別の解消について何ら書かれておらず定義がない法案だ」と部落問題解決の到達点を無視した法案であると主張しました。

 第二部では「人権を歌で奏でる」と題して、シャンソン歌手の今里哲氏の公演があり、すばらしい歌声で、全12曲を熱唱しました。

 

歴史を積み重ねて 第34回人権問題県民講座開催(2015年10月13日)

地域人権ネット主催の第34回人権問題県民講座が10月13日、ウィルあいちを会場に、県内から行政、教育、企業関係者など550名の参加で開催されました。

 山口明宏副理事長が司会進行を務め、第一講演では「ヘイトスピーチをどう考えるか?」と題して、進行兼パネリストとして奥山峰夫元大阪経済法科大学教授、パネリストとして碓井敏正京都橘大学名誉教授、新井直樹全国地域人権運動総連合事務局長が鼎談で講演。

奥山氏は「現在各地で示威行動が展開されており、自治体も議会で対策を求める採択がされている。ヘイトスピーチ克服のために、法律による規制も必要だが、何がヘイトスピーチと認定するのかが難しい問題もある」と指摘。碓井氏は「被害がある以上は法規制を作る必要はあるが、この問題の背景には若者の厳しい現状、格差、貧困、孤立などの問題があり限界もある。我々は正しい知識が必要だと思う」と話されました。新井氏は「ヘイトスピーチなど差別を煽る不当な言論表現を含む行為は、その影響や被害の実態からも許されるものではなく、まずは現行法による対応と権利保障の充実整備が必要」と人権連の立場を述べました。

第二講演は、映画「人間みな兄弟」を上映。初めて観る参加者も多かったようで、映画を通じて旧同和地区の実態、差別の実態を学びました。

最後の講演は、「戦後70年と部落問題」と題して、丹波正史全国地域人権運動総連合議長が講演。「人間みな兄弟のような劣悪な環境から、多額の同和対策費が投入され生活環境は改善され、生活が大きく変わり地域外との交流も増えた。また、結婚問題もほぼ無くなった」と社会問題としての部落問題は解決したとの認識を示し、「人権啓発で気をつけることは、これだけ部落問題が是正されてきたということも発信していかなければならない」と人権啓発のあり方についても述べました。

ご協力いただいたアンケートでは、「法規制の必要性については大変むずかしい問題だし、深い議論が必要だと思った」「部落に住む人々の姿が衝撃であった。資料映像として大変貴重なものを観れた」「社会問題として解決し、部落問題が着実に解消に向かっていることが理解できた」など、たくさんの感想が寄せられました。


第33回人権問題県民講座開催

 

 10月2日、地域人権ネット主催の第33回人権問題県民講座がウィルあいち大ホールを会場に開催され、県内から行政、教育、企業関係者520余名が参加しました。

 加藤哲生愛知地域人権連理事長が司会進行を務め、第一講演では「いま大阪の同和問題はどうなっているか」と題して、谷口正暁民主主義と人権を守る府民連合委員長が講演。谷口委員長は「大阪の旧同和地区は48地区あり、すべての地域を見てまわったが、周辺地域と一体になった姿が広がっており、大阪でも同和を意識して生活していない」「浪速区にある旧同和向け公共施設も次々と見直し・廃止され、特別扱いが無くなってきている」と大阪での運動の報告がありました。

 第二講演では「地域人権運動の10年」と題して、新井直樹全国人権連事務局長が講演。新井事務局長は「全国人権連が発足して10年が経ち部落問題も基本的に解決した。第5回全国大会では地域人権憲章も採択され、地域で学習し実践している」また「単身者、低所得者層の問題をどうするか。地域人権憲章を土台に奮闘していく」と10年間の運動の総括、今後の運動の展望を話しました。休憩をはさんで、山口県出身である末長愛さんの篠笛演奏がありました。末長さんは、高校卒業後今福優に師事、和太鼓、篠笛に励み、石見神楽の早舞を各地で公演。近年では、東京、島根、山口で活動をしています。参加者もすばらしい篠笛の音色に癒されました。

 最後の第三講演では、「同和問題解決の今 過去・現在・これから」と題して、丹波正史全国人権連議長が講演。丹波議長は「部落問題とは何か、①中世以来の伝統的な身分遺制の問題、②身分遺制の問題であるとともに、共同体からの疎外の問題でもある」として、部落問題を身分と共同体の2つの視点から語りました。また「生活環境や労働、教育などで周辺地域との格差も是正された今日、部落問題は総決算の段階に入っている」と、正しい部落問題の認識を示しました。参加者には、アンケートにご協力いただきました。その中で、「同和問題を理解するにあたって、中世からの社会構造や習俗を知ることができた」「歴史的、理論的な解説は興味深く、あらゆる差別を根絶するためにも貴重な研究であると感じた」など、貴重な感想をお寄せいただきました。

 

 

 

第32回人権問題県民講座

 10月2日、地域人権ネット主催の第32回人権問題県民講座がウィルあいち大ホールを会場に開催され、県内から行政、教育、企業関係者500名余が参加した。

 山口明宏愛知人権連副理事長が司会を務め、第一講演では「戦後史と部落問題」と題して、全国地域人権運動総連合の丹波正史議長が講演。丹波議長は「部落問題に関わって50年になり、当時は劣悪な生活を余儀なくされたが、現在はずいぶん改善された」と話し、また戦後史と部落問題を考える上で3つの前提があるとし、①部落問題とは何か、②部落、部落民とは何か、③部落問題の解決とは何かの3つを示し、「これらを正しくどうとらえるかが大事。現在では、部落外での結婚、転出入の増加や部落民としての帰属意識の希薄化などにともなって今日ではすでに消滅しつつある」と述べました。

 第二講演では、「地域人権を語る-地域人権権利憲章とかかわって」と題して、全国地域人権運動総連合の新井直樹事務局長が講演。新井事務局長は「地域人権憲章は全国人権連がわが国で初めて地域社会を対象にした憲章であり、長期的展望をもって策定した」と度重なる案文を煮詰めてきた経緯を報告しました。また、地域人権確立の方向として、①自分の意思により自由に考え発信し行動できる地域社会、②貧困や格差による困難を解消し、幸福に暮らせる地域社会、③参加、協同による住民自治が確立された地域社会の3点を掲げ、一人ひとりが輝く地域づくりの前進を呼びかけました。

 第三講演では、「差別と戦争をなくすために~おしばいとおはなし~」と題して、劇団俳優座所属の有馬理恵氏が講演。初めにプロジェクターを使って、夫であり写真家の郡山さんが東日本大震災の避難地域まで行き撮影してきた写真が映し出され、これから私たちはどう向き合うべきかなどと話され、講演の合間に高校2年生のときに「釈迦内柩唄」の芝居を観て影響を受けたという一人芝居を上演しました。有馬氏は「今まで480ステージを差別と平和のために芝居をやってきたが、差別と戦争がなくなっても続けていきたい」と熱く語りました。また、参加者にご協力いただいたアンケートでは、「どうしたら差別がなくなるのか。本当に難しい問題で考えさせられました」「日本が抱えている人権問題が凝縮された講演でした」「有馬さんの生き方、体験されたことに感銘を受けた」など多数寄せられました。みなさんのご意見を参考に、次回も心に残る企画をしたいと思います。

 

第31回人権問題県民講座

 2012年10月26日、地域人権ネット主催の第31回人権問題県民講座がウィルあいち大ホールにおいて開催され、県内から行政、教育、企業関係者約500名が参加しました。

 加藤哲生愛知地域人権連理事長が司会進行を務め、第一講演として丹波正史地域人権ネット代表が「水平社90周年を記念して」と題して講演しました。丹波代表は初めに「今年3月3日で水平社90周年を迎えた。部落問題が現在どのような状況になっているかお話ししたい」と挨拶し、「部落問題とは近代日本社会に残存した前近代的社会関係、身分的諸関係の残滓の問題であるということが重要である」とし、社会問題としては終結を迎えていると指摘しました。また、「これから部落問題を考える上で、①部落問題を正しく認識する。②部落差別はどういう形をとって生活に現れてきたか。③日本の歴史からみて、高度経済以降どういう作用が出てきたか。」など3つのポイントを述べ、「地方だけで10兆円とも言われるお金が部落問題に投下されたのは、解放運動だけではなく水平社の役割が大きかったと思う」と団結することが社会に対しての力になったと話されました。

 第二講演は、新井直樹全国人権連事務局長より「地域人権を語る―地域人権権利憲章とかかわって」と題して講演があり、新井事務局長は「住民のセーフティーネットを破壊する動きがあり、住民が安心して暮らしやすい生活を守るために地域権利憲章が必要」と全国人権連の立場を主張しました。また、「高齢者や若者とのネットワーク作りを権利憲章と同時に進める」と今後の取り組みも報告しました。

 最後の講演では、シャンソン歌手今里哲さんによる「歌とお話―人権を歌で語る」と題してコンサートがあり、「レボリューション」や「はるかなる銀河」など計10曲を披露。途中でのお話では「差別というのは、その人間の資質だと思う」「これからも人権を歌に変えて全国を回って行きたい」と話され、参加者はその力強い歌声に聴き入っており、最後はすばらしい拍手で終了しました。ご協力いただいたアンケートでは、「差別は部落という地域を対象に多くが発生していたという特徴がよく理解できた」「全国人権連の人権擁護法案に対しての立場がわかった」「人権と歌のコンサートはとても良い企画だったと思います」など多数寄せられました。

 2012年10月26日、地域人権ネット主催の第31回人権問題県民講座がウィルあいち大ホールにおいて開催され、県内から行政、教育、企業関係者約500名が参加しました。

 加藤哲生愛知地域人権連理事長が司会進行を務め、第一講演として丹波正史地域人権ネット代表が「水平社90周年を記念して」と題して講演しました。丹波代表は初めに「今年3月3日で水平社90周年を迎えた。部落問題が現在どのような状況になっているかお話ししたい」と挨拶し、「部落問題とは近代日本社会に残存した前近代的社会関係、身分的諸関係の残滓の問題であるということが重要である」とし、社会問題としては終結を迎えていると指摘しました。また、「これから部落問題を考える上で、①部落問題を正しく認識する。②部落差別はどういう形をとって生活に現れてきたか。③日本の歴史からみて、高度経済以降どういう作用が出てきたか。」など3つのポイントを述べ、「地方だけで10兆円とも言われるお金が部落問題に投下されたのは、解放運動だけではなく水平社の役割が大きかったと思う」と団結することが社会に対しての力になったと話されました。

 第二講演は、新井直樹全国人権連事務局長より「地域人権を語る―地域人権権利憲章とかかわって」と題して講演があり、新井事務局長は「住民のセーフティーネットを破壊する動きがあり、住民が安心して暮らしやすい生活を守るために地域権利憲章が必要」と全国人権連の立場を主張しました。また、「高齢者や若者とのネットワーク作りを権利憲章と同時に進める」と今後の取り組みも報告しました。

 最後の講演では、シャンソン歌手今里哲さんによる「歌とお話―人権を歌で語る」と題してコンサートがあり、「レボリューション」や「はるかなる銀河」など計10曲を披露。途中でのお話では「差別というのは、その人間の資質だと思う」「これからも人権を歌に変えて全国を回って行きたい」と話され、参加者はその力強い歌声に聴き入っており、最後はすばらしい拍手で終了しました。ご協力いただいたアンケートでは、「差別は部落という地域を対象に多くが発生していたという特徴がよく理解できた」「全国人権連の人権擁護法案に対しての立場がわかった」「人権と歌のコンサートはとても良い企画だったと思います」など多数寄せられました。

第30回人権問題県民講座

 10月14日(金)地域人権ネット主催の第30回人権問題県民講座がウィルあいち大ホールにて開催され、県内から行政、教育、企業関係者500名が参加しましたした。

加藤哲生愛知人権連理事長が司会進行を務め、初めに丹波正史地域人権ネット代表があいさつ。丹波代表は「県民講座も30回目であり、30数年の歴史がある。これまで講座を通して参加者に正しい部落問題を知っていただいた。今回は30回ということで、原点に戻り、部落問題をもう一度正しく理解してもらいたい。」とあいさつしました。

その後「部落問題解決過程の解明」と題して、(財)部落問題研究所理事・立命館大学元教授の鈴木良氏、大阪経済法科大学教授の奥山峰夫氏が対談形式で講演。鈴木氏は「私の考えに反対しているものは部落史と呼んでいるが、部落だけの歴史というものはなく、地域の歴史の中に含まれているだけ。地域の歴史から学ばないと、部落問題はわからない」と述べ、又「部落問題は政治が作り上げたという誤った考えであり、科学的でもない。教科書でもこの誤った記述がある」と研究してきたことを報告しました。奥山氏も「部落問題は社会の発展とともに変化していく。部落問題は消滅に向かっている」と報告しました。

 続いて「人権侵害救済機関設置法案をめぐる動向と課題」と題して、全国人権連事務局長の新井直樹氏が講演。新井氏は、人権救済機関(人権委員会)について「何を行うのか?どんな機関なのか?国民を含めて議論されていない」と指摘。「そもそも人権侵害救済機関はなぜ必要なのか、必要とする人権侵害事例も明らかでない。差別、虐待などを対象とするという現行法のもとで救済できない事案は何かという根本的な問題がなおざりにされている」と、この法案の問題点を指摘しました。

 また、参加者にご協力頂いたアンケートでは、「政治起源説の誤りについて良く理解できた」「新しい見方として、とても面白く聴かせて頂きました。違った視点を与えていただき、今後の参考にしたい」「法案について名前は知っているが、詳しい中身については知らなかったので良い機会になった」など多数寄せられました。

人権(部落)問題県民講座の歴史
35年に及ぶ県民講座の歴史は、日本社会の人権問題の歴史でもありました。この歩みを振り返ると、その時々の課題が浮かび上がってきます。
県民講座の歴史.pdf
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