ゴッホの風景

 ゴッホは一八九〇年五月二〇日にオーヴェールに赴いた。「オーヴェールはじつに美しい(とりわけ美しいのは、近ごろしだいに少なくなってきている古い草屋根がたくさんあることだ(ここに腰を落ち着けて、こいつを描いた絵で、滞在費が出ぬものか、そうであって欲しいものだよ。実際、非常な美しさだ。特徴ある絵画的な、本当の田舎だよ。お医者のガシエには会った。エキセントリックな人という印象を受けた。少なくとも僕が苦しんでいる程度には重神経病で苦しんでいるように思われた。医者としての経験で、どうやら心の平衡を保っているに違いない。彼は、僕に一日六フランの宿屋を予約してくれていたが、僕は自分で三フラン五〇の宿屋を見つけた」。
 はからずもゴッホの終焉の地となったオーヴェール・シユル・オワーズはパリから北西へ約三五キロ、セーヌ川支流のオワーズ河に沿って一段高くなったような台地が広がっている場所にある。オーヴェールはこの台地とオワーズ河に挟まれたほんの僅かな平地に東西に八キロ、細長いキュウリの形をしたような南向きの村である。(南川三治郎著「ゴッホを旅する」より)

ゴッホの最期の地オーヴェール

オヴェールの街を歩いて写真を撮りました。時期は冬です。

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