2016年

9月

21日

部落差別固定化法案」(部落差別の解消の推進に関する法律案)の2つの異常さと4つの問題点

「部落差別固定化法案」(部落差別の解消の推進に関する法律案)の2つの異常さと4つの問題点

 

2つの異常

 

部落問題解決の流れを無視

 異常さの第1は、安倍内閣のもとで、これまで積み上げられてきた同和問題での政策的な流れが無視されていることです。国と地方自治体での同和対策事業は、32年間で16兆円が費やされ、格差是正、差別の解消など、社会問題としての部落問題の解決に大きくはく立ち、部落問題はほぼ解決できる段階に至りました。このような状況を踏まえ、これまで政府・自民党も同和対策事業そのものを終結し、同和から人権への流れを意図的に創ってきました。今回の議員立法としての「部落差別固定化法案」の提案は自民党が戦後つくりあげてきたこれまでの同和問題での流れを自ら無視し、政治的思惑から提出された異常なものです。

 

民主主義を蹂躙

 異常の第2は、この前の国会で会期末に突如として提出するという、いたって民主主義を踏みにじるものです。これまでの同和対策事業の法律をつくる過程では、何度も関係団体からも意見聴取を行い、幅広い各界から意見をもらった上で、法案が提出されてきた経緯があります。今回は突然政治的思惑から提出されたことから、これは国会での多数をよりどころにした民主主義を破壊する異常な手法です。同和対策事業が終結して14年、この間、部落解放同盟によって、何度も「部落解放基本法」制定の動きや、差別の法規制をめざす動きがありましたが、これを許さなかい国民世論が存在し今日まできました。だからこそ、これを非常に恐れ短時間に一気に通してしまおうというのが、今回の推進者の思惑です。

 

4つの問題点

 

表現に自由を侵害し、私的制裁そのものである「糾弾」を合法化

 問題の第1は、本法に規定されている「部落差別は許されない」という名のものに、以前から部落解放同盟などによって言われてきた、差別が違法なものとして宣言されるということは、無理をしないでも糾弾の効果を上げることができるという、無法で私的制裁そのものである「差別糾弾」を合法化させかねません。これでは、旧身分を理由にした悪習・悪弊としての慣習を、国民の自由な意見交換のもとで、国民的融合をとげていく道の大きな妨げになります。

 

立法事実が存在しない

 問題の第2は、法律を制定しなければならないところの立法事実が存在しないということです。社会問題としての部落問題は基本的に解決され、「最後の越えがたい壁」とされてきた結婚の問題でも、旧身分にこだわらない自由結婚が主流となりました。部落差別は、基本的に解消されており、ヘイトスピーチ問題とは異なり、公然と差別言辞や行動をおこす状況にはありません。そうした行為が時として発生しても、それらの言動を許さない社会的合意が強く存在しています。また、インターネットなどでの匿名による陰湿な行為も起きたりしますが、それらも公然と支持が得られる状況にありません。

 

特権復活の目論み

 問題の第3は、法案には「地域の実情に応じ、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行う」(第3条2項)となっており、同和対策事業の復活につながりかねない非常に無限定な規定があります。地方自治体の同和行政終結への流れを法的にストップさせるという逆流現象を起こさせるということであります。これは特権と逆差別を復活させる部落問題解決への逆流です。

 

部落の固定化                                           

 問題の第4は、法案には「差別の実態調査」を国や自治体に要請していますが、同和にかかわる特別法(「同和地区」「同和関係者」)でいう行政上の概念は消滅していますが、これを復活させ、部落と部落外という人為的な垣根を法律の名で固定化させるものです。旧「同和地区」では混住が非常に進み、だれが「関係住民」かわからないというのが今日の実態です。このような状況の中での「実態調査」は、調査の名による「関係住民」の特定化、顕在化であり、旧身分洗いを行う人権侵害に通じる問題点を抱えています。

 

 これまで多くの人びとが努力してきた部落問題解決の到達点を無視し、この流れに逆行するとともに、表現に自由を侵害し、暴力的な「糾弾」を合法化させる「部落差別固定化」法案を必ず廃案にしていこうではありませんか。ぜひ、賛同署名にご賛同ください。