映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」の鑑賞を

丹波正史の映画鑑賞推薦

     地域人権ネット 代表 丹波正史

 

 アメリでの赤狩りでハリウッドを追われた脚本家のトロンボの生き様を描いた映画です。

赤狩りの実態が当時の映像も使いながら具体的に描き、脚本家はペンネームでしか作品が発表できず、それでも自らの意志をまげず貫き通します。思想の自由、表現の自由など、人間の自由を守るたたかいの大切さを教えてくれます。

 

岩田和憲の新作紹介

 

 2015年・アメリカ・124分 監督/ジェイ・ローチ 脚本/ジョン・マクナマラ 撮影/ジム・デノールト

音楽/セオドア・シャピロ 主演/ブライアン・クランストン ダイアン・レイン ヘレン・ミレンルイス・CK エル・ファニング ジョン・グットマン マイケル。スタールバーグ

 

 19471020日、アメリカ下院非米活動委員会の第一回聴聞会が行われた。当時のハリウッドでは・ウェインなどの右派映画人が先頭となった「アメリカの理想を守る映画連盟」があり、反共運動が始まっていた。

 ここに召喚されたのは、のちにハリウッドテンと呼ばれたものをはじめ多くの映画人だ。この中に、当時売れっ子の脚本家ドルトン・トランボの姿もあった。聴聞会で「君は共産主義者か、かつてそうだったのか?」の質問に憲法修正一条をタテに証言を拒否。議会侮辱罪で逮捕、禁固刑を受けた。

ハリウッドからも追放されたトランボは、メキシコへ移る。苦しい生活の中で偽名を使い脚本を書き続ける。

イアン・マクレラン・ハンターの名で「ローマの休日」、ロバート・リッチで「黒い牡牛」を書き上げた。米アカデミー賞にノミネートされ、その名を呼ばれても登壇者はいなかった。その後も「スパルタカス」「栄光への脱出」「いそしぎ」「フィクサー」「ダラスの熱い日」「パピヨン」などを手掛ける。71年、念願だった自身原作の「ジョニーは戦場へ行った」を生涯で一度だけ監督した。この作品にも平和のメッセージが込められている。

 ハリウッドを追放された映画人はC・チャップリン、J・ロージー、J・ダッシンなどがいたが、いずれもヨーロッパに拠点を移し活躍した。だが、E・カザンの様に転向し、その地位を守った者もいる。