映画評論家 山田和夫さんを偲ぶ

人権一口メモ

 映画評論家の山田和夫さんが永眠されてから早3ヶ月近くになる。昨日、東京の新宿で関係者が集まって「山田和夫さんのお別れ会」が開かれた。小生も友人でこよなく映画を愛する尾頭澄雄さんと参加した。お別れ会は一昨日文化功労賞を受賞した作家の堤清二(辻井喬)さん、映画監督の大沢豊さんや高畑勲さん、映画評論家の石子順さんらが参加した。会場は立錐の余地もないほど全国からの参加者であふれた。山田さんの交友関係の幅の広さを物語っていた。
 山田さんはソ連時代の映画監督エイゼンシュテインの研究・普及の第一人者として著名であるが、これのみにとどまらずスケールの大きな映画評論家であった。世界と日本の映画史をまとめたのをはじめ、ハリウッドでの赤狩り、世界の動向を映画がどう描いたか、巨匠黒澤明の映画論など、多面的な分野に及ぶものであった。映画評論の特徴は映画を歴史と社会の連環の中でとらえ、つねに労働者階級の立場から論じ、その見識はすぐれていた。こうした学者肌の人であったが、映画運動の先頭に立つ実践家でもあった。名古屋で毎年開催している「人権を映画で観る上映会」の常任講師のような役割も担ってくれた。