山田和夫さんの死去

人権一口メモ

 山田和夫さんが危篤だと2日前にある人から連絡が入った。今朝方新聞で死去したと報じられた。寂しい限りである。また一人かけ替えのない人がいなくなった。
 山田さんは私たちが主催している「人権を映画で観る上映会」の常連講演者であった。山田さんはリアリズムと民主主義の視点から活躍した映画評論家であった。ソ連映画「戦艦ポチョムキン」の監督、エイゼンシュテインを日本で精力的に紹介した。エイゼンシュテイン研究の第一人者でもあった。また人間の良心の問題として「ハリウッドの赤狩り」に鋭いメスを入れた。そこには人間の尊厳への限りない思いがにじみ出ていた。山田さんは世界と日本の映画史もまとめ上げた。
 山田さんは上映会で来名にした時よく「映画力」について語っていた。映画は現実の世界と社会を映し出し、人間の喜怒哀楽を表現することにより、その根っ子にある原因を浮き立たせ、人びとの自覚を促すという。山田さんの映画への愛情はひとかたならぬものがあった。さようなら、山田さん。